教育費はいくら貯める?児童手当×新NISA活用術【2026年9月】

「教育費は総額いくら準備すればいいのだろう」「児童手当だけで足りるのか」「新NISAで教育資金を運用してもいいのか」――子どもの将来を考えるほど、こうした不安は尽きません(2026年9月時点)。

この記事では、①幼稚園から大学までの教育費総額の目安、②2024年10月拡充後の児童手当の受給総額、③新NISAを使う場合の積立設計の考え方、という3つを順番に整理します。

子どもの教育費はいくらかかる?幼稚園から大学までの目安

教育費は「どのルートを選ぶか」で大きく変わります。まずは公立・私立それぞれの年間の目安を確認しましょう。

公立・私立ルート別目安

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計、2024年12月25日公表)によると、学校種別の年間学習費の平均は次のとおりです。

区分 公立(年額) 私立(年額)
幼稚園 約18.5万円 約34.7万円
小学校 約33.6万円 約182.8万円
中学校 約54.2万円 約156.0万円
高校(全日制) 約59.8万円 約103万円

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024年12月時点公表)

上記の年間額に在籍年数(幼稚園3年・小学校6年・中学校3年・高校3年)を掛けて単純合計すると、すべて公立に通った場合は約600万円、すべて私立に通った場合は約1,980万円になります。これは筆者が公表データをもとに計算した参考値で、学年による変動や物価上昇は反映していません。

幼稚園から大学までの教育費の目安を示す階段グラフ

大学進学時の一括負担

大学進学時には、入学金や初年度納付金などまとまった支出が発生します。日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(令和3年度調査、2021年12月20日公表)によると、次のような目安が示されています。

  • 高校入学から大学卒業までの教育費: 子ども1人あたり平均942.5万円
  • 大学入学費用: 国公立77.0万円、私立文系95.1万円、私立理系94.2万円
  • 大学4年間の入学・在学費用合計: 国公立481.2万円、私立文系689.8万円、私立理系821.6万円

出典: 日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」。なお、本記事執筆時点(2026年9月)で確認できる最新の公表データは令和3年度調査分です。新しい調査結果が公表され次第、内容を見直す予定です。

これらを合算すると、幼稚園から高校まで公立中心で大学も国公立に進んだ場合は合計で約1,080万円になります。幼稚園から高校まで私立中心で大学も私立文系に進んだ場合は合計で約2,670万円が目安です。いずれも筆者が公表データをもとに試算した参考値であり、実際の負担額とは異なる場合があります。

児童手当はいくらもらえる?2024年10月拡充後の総額

児童手当は、2024年10月分から大きく拡充されました。まず制度の概要を押さえましょう。

制度概要

こども家庭庁の情報によると、2024年10月以降の児童手当は次のとおりです(2026年9月時点)。

  • 所得制限は撤廃され、所得にかかわらず受給できます
  • 支給対象は高校生年代まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)に延長
  • 支給額は、3歳未満が月1万5,000円、3歳〜高校生年代が月1万円
  • 第3子以降はいずれの年齢区分でも月3万円
  • 支給は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の年6回、前2ヶ月分をまとめて振込

出典: こども家庭庁「児童手当制度のご案内」「もっと子育て応援!児童手当」

第1子・第2子の受給総額試算

第1子・第2子(第3子以降でない場合)が0歳から高校生年代まで受け取り続けたと仮定すると、総額は次のように計算できます。

1万5,000円 × 36ヶ月(0〜3歳未満)+ 1万円 × 180ヶ月(3歳〜高校生年代)= 234万円

18年間という長い期間で見ると、児童手当だけでも決して小さくない金額になることが分かります。ただし、これは制度が変わらないことを前提にした試算である点にご留意ください。

児童手当の受給総額を示すタイムライン図

児童手当を「教育費の原資」に変えるには

児童手当をどう扱うかは、各家庭の家計状況によって異なります。

生活費充当 vs 積立の判断軸

生活費が厳しい時期であれば、児童手当を生活費に充てること自体は自然な選択です。一方で、生活費に余裕がある家庭であれば、児童手当をそのまま教育費用の積立に回すという方法もあります。

どちらが正しいというものではなく、「今の家計に無理がないか」を基準に判断することが大切です。共働き世帯で家計管理の方法自体を見直したい場合は、共働き家計管理の3方式を比較した記事も参考になります。

専用口座・自動化の実務的工夫

児童手当を教育費の原資として意識したい場合、生活費の口座とは別に専用口座を分けるという工夫があります。

振込先を教育費用の口座に指定しておけば、意識しなくても自然に積み上がっていきます。加えて、給与天引きや自動積立の設定を組み合わせれば、毎月の判断の手間も減らせます。

新NISAで教育資金を運用する場合の考え方

児童手当や積立資金の一部を、新NISAで運用するという選択肢を検討する方もいます。ここでは基本的な考え方を整理します。

つみたて投資枠の基本

NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)とは、一定の投資枠内で得た運用益や分配金が非課税になる制度です。2024年からの新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円まで、非課税保有期間は無期限とされています(2026年9月時点、出典: 金融庁「NISAを知る」)。

非課税保有限度額は、つみたて投資枠・成長投資枠を合わせて1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円が上限)です。教育資金の積立にどう組み込むかは、新NISAの積立設定で最初に決めるべき3つのポイントも参考にしてください。

投資には元本割れの可能性があります。教育資金として使う場合は、この点をふまえたうえでご自身の判断で検討してください。

大学入学時期のタイミングリスク

教育資金の運用で意識したいのが「タイミングリスク」です。これは、資金を使う時期の直前に価格が下がると、想定より少ない金額しか用意できない可能性がある、という考え方を指します。

老後資金であれば取り崩す時期をある程度ずらせますが、大学入学のようにお金が必要な時期が決まっている資金は、この調整がしづらい面があります。使う時期が近づくにつれて値動きの影響を受けにくい方法の比率を高めていく、という考え方が一般的に紹介されています。

教育資金の積立設計を3層で示した図解

学資保険との比較は別記事で

「学資保険と新NISA、どちらがいいか」は、それぞれの目的やリスクの感じ方によって答えが変わるテーマです。この記事では深く扱わず、学資保険は今も必要かで詳しく比較していますので、あわせてご覧ください。

【体験談】児童手当と教育資金、会社員として感じていること

インデックス投資を10年ほど続けてきて感じるのは、「使う時期がほぼ決まっているお金」を運用に回すかどうかは、老後資金の運用とはまったく別の判断が必要だということです。老後資金は取り崩す時期をある程度先送りできますが、進学のタイミングは動かせません。

児童手当のような「使い道が見えやすいお金」を運用に回すかどうかは、正直なところ今も迷いがあります。相場が良いときはつみたて投資枠の非課税メリットが魅力的に見える一方、必要な年にたまたま価格が下がっていたらと考えると、生活費の運用とは違う慎重さが要る気がしています。

今のところ私は、必要な時期がはっきりしている資金は元本割れのリスクが低い方法に多めに置き、それ以外の余裕資金だけを運用に回す、というざっくりした線引きをするようにしています。この配分が正解かどうかは分かりませんが、「いつ使うお金か」を先に決めてから運用方法を選ぶ、という順番だけは意識しています。

家計全体での優先順位づけ|生活防衛資金→教育費→老後

教育費だけを切り離して考えると、家計全体のバランスを崩しかねません。優先順位を意識しておきましょう。

順番とバランス

一般的には、まず生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分程度が目安とされる、急な出費や収入減に備える資金)を確保し、そのうえで教育費、さらに老後資金という順番で考える方法が紹介されています。

生活防衛資金の置き場所に迷う場合は生活防衛資金の置き場所を比較した記事、物価上昇で家計が目減りする不安がある場合はインフレ家計対策もあわせてご確認ください。ただし、この順番も絶対ではなく、家庭の状況に応じて調整する余地があります。

共働き世帯の役割分担の一例

共働き世帯では、教育費用の口座を一方が管理し、老後資金用の積立をもう一方が担当するといった役割分担の例も見られます。分担の形に決まりはなく、夫婦で話し合いながら、管理のしやすさを優先して決めるとよいでしょう。

こどもNISA(2027年開始予定)は現時点で予定段階

2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」に、いわゆる「こどもNISA」(0〜17歳の子ども名義でつみたて投資枠を利用できる制度)の創設が盛り込まれたと報じられています。2027年1月開始、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円になる見通しと伝えられていますが、2026年9月時点では制度の詳細がすべて確定しているわけではありません。正式な内容は今後、金融庁などから順次公表される見込みです。

まとめ

  • 教育費はルート次第で、幼稚園から高校まで公立中心なら約600万円、私立中心なら約1,980万円という目安があり、大学進学時にはさらにまとまった負担が発生します
  • 児童手当は2024年10月の拡充で所得制限が撤廃され、第1子・第2子は0歳から高校生年代まで受け取ると総額234万円になる試算です
  • 新NISAは非課税のメリットがある一方で元本割れの可能性があり、使う時期が近い資金は慎重な検討が必要です

まずはご家庭の教育方針(公立中心か、私立も視野に入れるか)を話し合い、児童手当の使い道を決めるところから始めてみましょう。

よくある質問

児童手当は全額貯金しないといけませんか?

いいえ、そうした決まりはありません。生活費に充てるか、貯蓄・積立に回すかは各家庭の判断に委ねられています。まずは家計に無理がない使い方から検討してみてください。

新NISAで教育資金を運用するのはリスクが高いですか?

運用にはどの方法にも元本割れの可能性があります。使う時期が近づいている資金ほど値動きの影響を受けやすいため、資金が必要な時期と金額を踏まえて判断することが大切です。

子どもが3人以上いる場合、児童手当の総額はどのくらいになりますか?

第3子以降は0歳から高校生年代まで一貫して月3万円が支給されるため、単純計算では216ヶ月×3万円で648万円になります(2026年9月時点の制度)。「第3子」の数え方には条件があるため、詳細はこども家庭庁の公式情報でご確認ください。

学資保険と新NISA、どちらがいいですか?

目的やリスクの感じ方によって異なるため一概には言えません。詳しい比較は学資保険は今も必要かで解説していますので、あわせてご覧ください。

こどもNISAが始まったらどうすればいいですか?

2027年1月開始と報じられていますが、2026年9月時点ではまだ制度の詳細が正式決定した段階ではありません。正式な発表内容を確認してから、ご自身の教育資金計画に組み込むかどうかを検討しても遅くないでしょう。

筆者について

ピーナッツパパ。東京都内在住の40代会社員。IT系企業で中間管理職として働きながら、インデックス投資10年、高配当株投資8年の経験をもとに、会社員が無理なく続けられる資産形成の考え方を発信しています。詳しくはプロフィールをご覧ください。

ご利用にあたって

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨するものではありません。また、税制・社会保障制度は改正される場合があり、記載内容は執筆時点のものです。最新の情報や個別の取扱いについては、金融庁国税庁 などの公式サイト、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご確認ください。

本記事の情報をもとに行われた判断により生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いません。